ボイドとは
ボイドという言葉が建築においてどのように使われるのかを見ていきましょう。ボイドは英語の”void”から来ており、「空虚」「空白」「無効」といった意味合いを持ちます。建築では、単に「何もない空間」を指すのではなく、設計者の意図によって設けられた「空隙」全般を指す、より広範な概念として使われます。
ボイドは大きく分けて、以下の二つの文脈で用いられます。
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意図的に設けられた「空の空間」としてのボイド: これは、建物内部に作られる空間的な「空白」を指します。後述する吹き抜けや、建物の中央に設けられる中庭(光庭)、あるいは高層ビルの構造体に風を通すためのオープンスペースなどがこれに該当します。これらは、採光、通風、視覚的開放感、コミュニケーションの促進、デザイン性の向上など、様々な機能的・デザイン的メリットを追求するために計画されます。
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構造体内部の「空洞」としてのボイド: こちらは、主にコンクリート構造物において、重量軽減や配管スペースの確保、あるいは構造的な合理性を追求するために、意図的に作られる内部の空洞を指します。例えば、コンクリート打設時に「ボイド型枠」と呼ばれる部材を挿入し、コンクリートが固まった後に取り除くことで、内部に空洞を形成します。地中梁の軽量化や、スラブ(床版)内の配線・配管スペース確保などに用いられます。
この稿では、特に前者の「空間としてのボイド」に焦点を当て、その代表例である吹き抜けとの関係性について掘り下げていきます。
建築空間の主役「吹き抜け」
吹き抜けは、まさに「空間としてのボイド」の最も身近で分かりやすい例と言えるでしょう。これは、建物の床の一部を設けず、上下階を垂直に繋ぐ大空間を指します。その開放的な魅力から、多くの住宅や商業施設、公共建築物で採用されています。
吹き抜けとは
吹き抜けは、単に空間が広がるだけでなく、居住性やデザイン性を大きく向上させる多くのメリットを持っています。
- 自然光の豊かな取り込み
- 優れた通風・換気効果
- 家族間のコミュニケーション活性化
吹き抜けに関して、こちらも参考にしてください。

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